一棟アパートや一棟マンションなどの収益物件は、住むための家とは「価格の決まり方」も「売り時」も大きく異なります。本記事では、収益物件を売却する地主・投資家の方に向けて、価格の考え方・売却タイミング・流れ・費用と税金・注意点を、実務目線で網羅的に解説します。
収益物件の価格はどう決まる?
収益物件の価格は、主に次の3つの方法で評価されます。
- 収益還元法:家賃収入から逆算する方法。投資家がもっとも重視します
- 取引事例比較法:周辺の類似物件の取引価格と比較する方法
- 原価法:土地値+建物の再調達原価から積算する方法
実務では、収益性(収益還元)と資産性(積算)の両面から見て、買主が納得する価格に落ち着きます。
利回りと価格の関係(計算例)
収益還元法では、ざっくり 「年間家賃収入 ÷ 期待利回り=価格」 で評価されます。
- 例)年間家賃500万円・買主の期待利回り8% → 500万 ÷ 0.08 = 約6,250万円
- 例)同じ家賃でも期待利回り6%(好立地)なら → 500万 ÷ 0.06 = 約8,333万円
つまり、満室稼働で家賃収入が高いほど、また買主の期待利回りが低い(人気エリア・好条件)ほど、価格は高くなります。逆に空室が多いと評価額は下がります。
収益物件の「売り時」の見極め方
1. 所有期間が5年を超えてから(税金)
譲渡所得税は、所有期間が5年以下(短期)で約39.63%、5年超(長期)で約20.315%と、約2倍の差があります。判定は「売却した年の1月1日時点」で行われるため、長期譲渡になるタイミングを意識すると手取りが大きく変わります(詳しくは不動産売却の税金の記事へ)。
2. 大規模修繕の前
建物は概ね13〜15年周期で大規模修繕(外壁・屋上防水など)が必要になり、数百万円規模の出費が発生します。大きな修繕費が出る前に売却するのも一つの判断です。
3. デッドクロス前後
ローンの元本返済額が減価償却費を上回る「デッドクロス」を迎えると、帳簿上の利益に対する税負担が重くなり、手元キャッシュが圧迫されます。これを売却の検討材料にする投資家も少なくありません。
4. 高稼働・築浅のうち
一般に満室に近い高稼働で、築年数が浅いほど高く評価されます。空室が増える前、設備が古くなる前のほうが有利です。金利の動向(買主のローン環境)も価格に影響します。
売却の流れと準備するもの
- 査定(収益還元・事例比較で価格の目安を把握)
- 媒介契約または買取業者の選定
- 資料準備(下記)
- 売り出し・買主との条件交渉
- 売買契約・引き渡し(入居者がいる場合は賃貸借契約を承継)
準備する主な資料:レントロール(賃貸借一覧)/確定申告書・収支資料/修繕履歴・長期修繕計画/登記簿・公図/建物図面・検査済証/各賃貸借契約書 など。入居中のまま売る「オーナーチェンジ」が一般的で、入居者に退去を求める必要はありません。
かかる費用・税金
- 仲介手数料(仲介の場合・上限=売買価格×3%+6万円+消費税が目安)
- 印紙税(売買契約書)
- 抵当権抹消などの登記費用(ローン残債がある場合)
- 譲渡所得税(売却益が出た場合。建物は減価償却後の取得費で計算)
注意点
- レントロールは正確に:満室を装う等の粉飾は厳禁。後の契約不適合トラブルを避けます
- 築古・空室・再建築不可など“訳あり”要素がある場合は、一般市場で買い手が付きにくいことも。専門の買取が有力です(再建築不可の記事もご参照ください)
- 確定申告:譲渡益が出た翌年に確定申告が必要です
よくある質問(FAQ)
Q. 入居者がいても売れますか?
A. 売れます。入居中のまま売る「オーナーチェンジ」が一般的で、賃貸借契約は買主に引き継がれます。退去させる必要はありません。
Q. 空室だらけでも売れますか?
A. 売れますが、収益還元の評価は下がりやすくなります。再生・満室化のノウハウを持つ買取業者なら、現況でも売却しやすいです。
Q. 相続した古いアパートはどうすれば?
A. 修繕費・空室リスクと売却のどちらが得かを比較しましょう。まずはAI査定で価格の目安を把握するのがおすすめです。
まとめ
収益物件の売却は、「価格=家賃と利回り」「売り時=税金・修繕・稼働率」がカギです。まずは今の価格水準を把握することが第一歩。リアサテのAI査定は一棟・収益物件にも対応し、満室想定家賃から収益還元価格の試算も確認できます。築古・空室・権利関係などの個別事情もそのままご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供です。税務・個別物件の評価は、税理士・当社担当者へご確認ください。

